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これが自動車の未来!? 試乗して分かった、EVの現状

 自動車に興味がある人なら必ず目にするであろう「EV」の文字。実際に今、自動車業界は100年に一度の転換期とも言われている。具体的には、現在広く普及しているガソリン車からBEV「バッテリーEV」への移行である。日本政府は2050年までの脱炭素を掲げており、国家ぐるみで急速な電動化を促進している。

 しかし、これらの急速なEVシフトへ懐疑的な意見も存在する。特に、日本では充電インフラ整備や、航続距離等の問題が多く指摘されており、日経新聞では、22年度の国内EV販売は2.1%増に留まっていると報道されている。

 本記事では、普段ガソリン車を利用する筆者が、EVに始めて試乗した感想を述べ、EVの普及について、考えていく。

今回試乗した車種! SUBARU SOLTERRA(ソルテラ)

▲SUBARU SOLTERRA(ソルテラ) 

 今回私が試乗した電気自動車は、SUBARUが2022年に発売したSOLTERRAだ。TOYOTAとの共同EVプラットフォームを採用したBEV(バッテリーEV)で、グレードによるが四輪駆動であるAWD、安全装置である「アイサイト」が搭載され、アウトドアでも、街乗りでもそつなくこなすSUV(スポーツ用多目的車)である。SUBARUらしい、見とれてしまうようなエクステリアと高級感漂う内装が素晴らしい。

いざ乗車!

▲SOLTERRAのコックピット。視界は良好

 乗ってみて、エンジンスタート!、 ….当然ながら、スタート音はほぼゼロだ。ガソリン車独特の振動もない。本当に走るのか?と不安になりながらも、慣れないシフトレバーを左にひねる。

 … 凄い! というのが一言目の感想だ。まずブレーキを離した後のショックがない。EVであるのに、しっかりクリープ現象もある。最近のハイブリット車と変わらない感覚で運転が出来た。その上、ガソリン車で気になっていた、シフトショックや、アイドリング時の振動もすべて排除されている。正直言ってかなり快適だ。ガソリン車主義だった筆者も、一気にEVの虜となってしまった。

なんという加速だ….! 発進時のストレスがない! 

 しばらく横浜の街を走って感じたことは、発進時のストレスが皆無であることだ。市街地だと信号で止まることが多いが、アクセルを少し踏むだけでもラグなく、一瞬で50km/hに達してしまう。信号待ちで後ろに着いたガソリン車を悠々と突き放す瞬間がたまらない。とんでもない優越感である。

 坂道の多い横浜の街でもなんのその。感想としては、「とにかく楽」だ。ガソリン車で感じていた加速時のストレス、乗り心地のすべてが解決している。まさに革命だ。これで日本のEVは遅れているのなら、海外の進んだEVはどうなってしまうのだろう。

いざ、高速へ。

▲貸出時の航続距離

 よく、EVは遠出には向かないという意見を聞くが、実際どうなのだろう。気になった筆者は、高速道路を走ってみることにした。今回走るのは、横浜の狩場と横須賀の馬堀海岸までを繋ぐ「横浜横須賀道路(通称横横)」だ。本検証では、高速道路を含む総距離119kmを走行した後のバッテリー残量を計測した。

・検証結果

レンタカー貸出時返却時(119km走行後)
バッテリー残量100%62%
航続距離(ecoモード)404km288km
▲走行ルート (横浜駅⇒菊名駅⇒北久里浜駅⇒みなとみらい⇒横浜駅)
 ※高速道路使用は新保土谷IC⇒横須賀IC, 佐原IC⇒朝比奈ICの計36.8km

 レンタカー貸出時にはecoモードで404kmだった航続距離表示が、返却時には約41%減の288kmとなった。バッテリー消耗量が38%であることから、航続距離表示の減りはバッテリー消耗量より早いことが分かる。

 こうして見ると、やはりガソリン車よりも航続距離は短いように感じる。例えば、この車で400km運転する場合は、200km以上走ると充電を考えなくてはいけなくなる。さらに、高速道路等に設置されているスーパーチャージャーは原則1回に30分しか充電できない為、400km走る場合は2回以上の充電が必要となる。一瞬で満タンにできるガソリン車と比べると、手間と時間がかかってしまう。遠くへ旅行に行くとなると、少し厳しい印象だ。

結論! EVは普及しうるのか?

 結論としては、「現時点でEVは乗り手を選ぶ自動車である」といえる。ガソリン車を優に超える乗り心地と、街乗りのストレスの無さは魅力的だが、やはり航続距離の問題は大きい。旅行や帰省が多い人はガソリン車を選ぶと考えられる。逆に、街乗りメインで使う自動車としては、優秀だ。

 次に、ネックなのが新車価格である。EVはまだまだ高く、今回乗ったSOLTERRAは一番安いグレードで6,270,000円と少々値が張る。この値段を出すのなら、ガソリン車の高級グレードが買えてしまうのが現実だ。

 これらの事実から、EVを選ぶであろう人は以下のような人である。

  • 遠出の機会が少なく、街乗りがメインな人
  • 最新技術を体感したい人
  • ガソリン車をすでに持っていて、2台目を考えている人。

 我々一般人に広く普及するのは、”まだまだ先になる”というのが私の意見だ。これには、反論があるかもしれないが、一意見として参考にしてほしい。今後の技術開発により、航続距離の問題が解決すれば、未来はわからない。一人の自動車ファンとして、非常に楽しみである。