前回の記事では、筆者が初めての自作パソコンに挑戦するにあたり、目的や選定したパーツ構成について紹介した。
まだ読んでいない方は、前回の記事もぜひご覧いただきたい。
今回は、その続編として、実際の組み立て作業、初期設定、性能テスト(ベンチマーク)までの工程を詳しく紹介する。
「自作って難しそう」と感じている方にも分かりやすいよう、初心者目線で丁寧に解説する。ぜひ最後まで読んでみてほしい。
組み立て
今回は工程を簡単に説明する。詳しくは株式会社アスクさんのページ(リンク:自作PCの作り方)を参照してもらいたい。
1.事前準備
まずは作業環境を整える。広めの机(静電気防止のため金属製は避ける)で作業することが望ましい。また、このタイミングで部品に異常または不足物がないかの確認も必ず行う。
必要なもの:
・プラスドライバ
・ネジなどを入れる小さい箱
・説明書を確認するためのスマートフォン(電子説明書が多いため)
2.CPUの取り付け
マザーボードを袋から取り出し箱の上など柔らかい場所に置く。
CPUを取り出し、マザーボードのソケットの三角マークとCPUの印を合わせ慎重に置く。マザーボードのレバーを倒し固定する。

3.CPUクーラーの取り付け
今回使用したCPUクーラー(NZXT T120 White)には初期状態でIntel用の固定金具が装着されているため、Ryzen用の金具へ交換する。CPUグリスを塗布し、ヒートシンクを装着してネジで固定。その後、ファンを取り付けて配線を行う。 クーラーを取り付ける前に、マザーボードをPCケースに入れると作業が困難になるため、マザーボード単体の状態で作業することをおすすめする。
4.メモリの取り付け
メモリはスロットを押して開き、カチッと音がするまでしっかり差し込む。マザーボードの説明書で「推奨スロットの組み合わせ」を確認すること。今回のマザーボード(ASRock B650M PG Riptide WiFi White)では、CPUから数え2番目と4番目のスロットに差し込む。
5.M.2 SSDの取り付け(ストレージ)
M.2スロットのネジとヒートシンクを外し、SSDを斜めに差し込む。ヒートシンクの放熱パッドから保護シールを剥がし、再びヒートシンクを載せてネジで固定する。

6.マザーボードをケースに取り付け
ケースに付属しているスペーサー(ねじ受け)の位置を確認し、マザーボードのネジ穴に合うよう調整し、ケース付属のネジで固定する。
7.電源ユニットの設置と配線
電源ユニットに使う配線を差し込む。今回の構成では、メイン24ピンケーブル、CPU用8ピンケーブル、GPU用のPCIeケーブル、ケース用のSATAケーブルを接続する。その後、ユニット本体をケースに固定し、各パーツへケーブルを接続する。

8.GPU(グラフィックボード)の取り付け
ケースの拡張スロットのカバーを外し、PCIeスロットにGPUを差し込む。しっかり奥まで差し込んだ後、ネジで固定し、補助電源を接続する。

9.最終配線チェック
配線にミスはないかケーブルはしっかり奥まで差し込んでいるか確認する。

このあと、BIOS設定とOSインストール、そしてベンチマーク測定へと進んでいく。
初期設定とWindowsインストール
BIOSでパーツが正しく認識されていることを確認する。BIOSとは、マザーボードに搭載されている、OSの制御を行うプログラムのことである。そのため、Windowsインストール前でもパーツの状態を確認することができる。その後Windowsをインストールする。
- Microsoft公式サイトからメディア作成ツールを使い、USBにインストールメディアを作成する。(リンク:Windows 11 のダウンロード)
- USBメモリーを接続して起動する。
- Windowsインストーラの案内に従いインストールする。
インストールは20分程度で完了する。その後、マザーボードやGPUのドライバをインターネット経由でダウンロードし、最新の状態にしておく。
性能テスト(ベンチマーク)
最後に、実際の使用を想定したベンチマークテストを行った。使用している3DCADソフト「SOLIDWORKS 2025」のベンチマーク機能を使用した。学科指定ノートパソコンと今回自作したデスクトップPCの両方おこなった。


▲左:学科指定パソコン、右:自作パソコン
自作パソコンは、ノートパソコンと比べてベンチマークの動作が圧倒的にスムーズであった。部品点数の多いアセンブリの回転・ズーム操作を行う場面でもカクつきがなかった。
また、ゲーム用途としては、「モンスターハンターワイルズ」公式ベンチマークソフトを使用した。なお、学科指定ノートパソコンはストレージ容量の不足によりインストールができなかったため、自作パソコンのみで計測を行った。

WQHD(2560×1440)解像度・グラフィック設定「高」にて実施したところ、平均78.23fps(フレーム生成機能ON時)を記録した。描画の重いシーンやエフェクト演出が多い場面でも、フレームレートを維持しており、十分に快適なプレイが可能であることが確認できた。
このように、本構成は学業用途と、高負荷な最新ゲームのプレイを両立できる性能を十分に備えている。
おわりに
以上、自作パソコンの組み立てから初期設定、性能テストまでの工程を紹介した。用途や理想に合わせパーツを選び、実際に組み立ててみることで、パソコンに対する理解が深まるだろう。
パソコンを「買う」だけでなく「作る」ことで得られる経験は、電大生にとっていい経験になるのではないか。
この記事が、自作パソコンに挑戦しようとする方々の一助となれば幸いである。